◇滅多に夢は見ないのだけど、たまにこんな日がある。直後、腹を蚊に刺されて起きた。
◇なんだか週一でプールってのはあんまり効果なさそうなので、週二にしようか検討中。
◇久々にブラウニーを焼くので、チョコレートを買いに行く予定。
大学1年のとき、初めて迎える彼女の誕生日にチョコブラウニーを持って行ったのだった。その頃、僕は生まれて初めて本物の不安というものを知り、戸惑っていた。本物の、というのは、自分ではどうにもできないものに身を任せるしかない不安。ブラウニーを焼くことは、その不安への無意識の抵抗だったのかもしれないが、もちろんその抵抗が現実的に何の効果もないことをも知っていた。
ただ、現実的には無意味であっても、僕がそこで一種の創作行為を行ったという事実に、今僕はニヤリとする。僕はどうにもならないという事実を肉体感覚に刻み付けるように、ブラウニーを焼いた。それはなんだか、言葉を身につけようと必死にもがいている様子に見えたりする。
ブラウニーは、父が得意とした料理でもあった。父は基本的には自分の食べたいものを大量に作るのだが、母はそれを、家族よりも自分の欲望を優先させる身勝手な行為だと、ほとんど憎悪の対象にしていた。だがしかし、ブラウニーだけは何も言わずに食べていた。
ブラウニーとは、そういうものだった。
◇今から妻の実家へ。後ほど再び更新。
◇さきほど、ブラウニーを焼き終えて、冷蔵庫に寝かしつけた。
父のレシピはたしかデビューしたての栗原はるみによるもので、バナナとアーモンドパウダーを上手に使ってずっしりと濃厚に仕上がるものだった。僕はその本を見ながら焼いたのだが、その本はつまり実家にあるため、僕はあらためて、ブラウニーの新しいレシピを手に入れなければならない。
今日は、バナナやアーモンドパウダーも使わず、それどころか薄力粉と卵、チョコレートとバターを使った、ごくごくシンプルなものを焼いた。少しチョコを欲張り過ぎて、全体的にゆるめになってしまった。
妻は明日、これまでと違うブラウニーを、どんな風に批評するのだろう。ただ今は、その語り口が気になっている。