web版:ラッパー宣言(仮)

ビートでバウンス 唇がダンス

午前11時。曇りのモノトーン。

◇手の絵を描いたとしたら、背景部分の余白がそのまま空と同じ色をしている。温度や湿度も、そんな感じの天気だった。

◇家族揃って買い物へ。いまのうちに冬支度をしておかないと。

◇昨日は久々に水泳。一ヶ月以上のブランクのせいで腰が重い。今日は泳ぐと決めたものの、直前になって今日はやめて明日にしようかなあなどと漏らしはじめる。妻に背中を押してもらいながら外へ出ると、随分と寒くなっていた。
 久々に泳ぐときは1500を目安にするのだが、結局昨日は45分で1750メートル泳いだ。震災後、6月に再開してから夜は17時までの営業だったのだが、最近は週の決められた曜日だけ21時まで開いており、段々と震災前の営業に近づいている。

アラザルの原稿が出揃い、今回の同人の原稿を全て読む。これだけの論考を全員が書くということを毎度の目標にするのは、それはそれは大変な集中力とプレッシャーを要するわけだけれども、2008年から今まで、なんとか発行を続けてきていること、さらに同人ひとりひとりは各自の思考をどんどん深めていっているということを考えてみると、改めて驚いたりする。アラザル2号には大谷能生氏のインタビューを掲載しているのだが、そのなかで氏は「10年スパンで考える」という話をしていた。なるほどたしかに、アラザルも10年は続けないと、何かしっかりと手触りのわかる形を作らないだろう。そういうことが、今は非常に生々しく感覚できる。10年といえば、2018年くらいだ。どんな形態でもいいから、とにかく続けなければいけない。

◇息子は最近、なんだか笑いそうなそぶりを見せる。腹筋を痙攣させたり表情筋を動かしたりと、いわゆる笑うという行為をするだけの身体的な準備は整っているようなのだけれども、「笑う」を「泣く」のような自律した身体運動となるまでには、まだ少し時間が必要なんだろう。歌ったり踊ったりするとかなり反応するようになってきたので、僕は最近脇腹までくすぐり始めている。そうすると、ごくごくたまに笑顔を見せたりもするのだけれど、ほとんどの場合、まだ不思議な感触とそれに対する内的な反応に戸惑っているのか、眉間に皺を寄せて迷惑そうな顔をしている。そしてそのうち泣く。そこで笑うようになるまでの回路が、あと少しで繋がるんだろう。

内閣府原子力委員会の報告によると、福島第一原発廃炉までに30年以上かかるらしい。30年後、息子は今の僕より年上になっている。



『カウボーイ・ビバップ』はジャズやらブルースやらフォークやらについての言及が多くあったアニメと記憶しているのだけれども、最終回(地上波のね)にhiphopが流れた、ということの意味が、最近になってようやくわかった。断片的な風景描写と、それをつぎはぎしながら繋いでいく最終話。そうして響く『空を取り戻した日』。hiphopという、サンプリングと物語の掛け合わせが正しく映像化されているように見えて来る。