web版:ラッパー宣言(仮)

ビートでバウンス 唇がダンス

やっぱ名作だよ・・・

って思うのは、古谷実僕といっしょ』。

 実は古谷作品の中でも『僕といっしょ』だけはまだあんまり読み込んでなかった。まあところどころエピソード毎に読んではいたけれども、最後に通しで読んだのは確か浪人時代?4年ぶりくらいなんじゃないのかなあ。
 なんというか、明確に意識していたわけではないんだけれど、『僕といっしょ』について書くためには整理して書く練習が必要な気がしていたんだと思う。んで、まあ「そろそろかな」って思い始めて、時間見つけて読み返している。
 いや〜しかしやっぱスゴイな。先ほどベローチェでひとり涙をこらえるという失態を演じてきたわけだけど、『僕といっしょ』は『稲中』以上に、その後の古谷作品全てにつながる問題意識が明示されてるって感じ。そんで、やっぱりそのギャグとシリアスの混ざり具合(=避けようとしてもどうしても問題に向き合ってしまう切実な誠実さ)は絶妙だと思う。もともとそれが上手な古谷作品の中でもピカイチかと。
 稲中はギャグに徹するエピソードも沢山あるんだけれども、『僕といっしょ』はどのエピソードにも必ず問題意識がしっかりと投影されていて、全部やるんなら、やっぱり書くこと多くなるなあw
 それにしても・・・「孤独」を意識せざるを得なくなってしまうような「運命」によって、積極的に何かを「希望」したり「信仰」することを恐れ、だったら自分が「希望」「信仰」の対象になることを願い、しかし「孤独」であるがゆえの全能感をも捨て去る気概もない、というどうしようもない連関は、それ自体すんごく醜いあがきなんだけれども、しかし同時に、誠実に戦う姿でもあって、とっても美しいのだ。


 あ、あと、古谷実には母親と息子の話を書いて欲しい。ぜひ。