web版:ラッパー宣言(仮)

ビートでバウンス 唇がダンス

女子にも童貞はいる/他

◇っていう当たり前のことを考えた。
 『百万円と苦虫女』を観てきました→http://nigamushi.com/

◇童貞の男の子は、「引っ込み思案な僕をわかってくれて、お互い不器用なんだけどでも彼女は僕よりちょっとだけ積極的。そんな女の子、どっかにいないかなあ・・・。あ、でもギャルとかもエロくていいよね。一途に僕を想ってくれるさえない田舎のコもいいなあ。でも、やっぱ本命は文化系女子!!」みたいな都合の良い妄想とかすると思うんだけど、この映画はまさにそんな感じw。ただし、その童貞は女子。
 全然男性が描けてなくて、まさに女子の脳内男子って感じ。蒼井優演じる主人公の女の子は都合よくモテて、前科持ってる(という都合いい設定なんです)ことで自分を過剰に特別視できて、まさにワールド・イズ・マインな「アタシ」が全編に満ち満ちてる。
 でもね、最後の蒼井優のセリフにはびっくりした。今までの物語が全て童貞女子の妄想だっていうことを宣言してて、にも関わらず、彼女はそれが妄想に過ぎないことを知りながら、これからもその妄想を夢見て生きていくであろう感じが出てる。いや、そこまで言わんとしてるのかは、正直この作品単体ではわからんのだけれど。監督のタナダユキさんの作品はこれしか観たことがないので。

◇それにしても、童貞の妄想に2時間近く付き合わされるのって結構苦痛ですw。はじめてそのウザさに気付き、改めて反省。そして、こういう発言ってさらにウザイけど、童貞カワイイという女子の上から目線を、自分もわからんでもないことを知る。いや、でもちがうな。やっぱ童貞女子かなりイヤだなw。上から目線に立つより前に、かなり本気でムキになってると思うよ。

◇それにしても、蒼井優ってホントにスゴイのね。なんつうか、文化系女子みたいな自意識過剰な人が口揃えて好きっていうから、好きと言いづらい空気を感じてしまうのですが(浅野忠信もそう)、っていうか、そういうこと考えてる僕が誰よりメンドクサイ自意識過剰なわけですがw、まあとにかく歯の浮くようなセリフでも、きちんと自分の言葉っぽくなってるのがすごい。予告編でも使われてた「(自分は)探さなくたって、イヤでもここにいますから」っていう陳腐なセリフも、蒼井優を通せばすごく体重が乗ってる。予告編ではセリフに振り回されてる雰囲気あったけど、それは単に本編本来の間を短縮してしまうほかなかったからで、本編の方では全然嫌味じゃなかった。てゆうか、蒼井優の方がこの陳腐なセリフよりも何倍もウワテ。彼女みたいに言葉にセンシティヴな人に脚本書かせればいいんじゃないの?って思うけど、脚本ってそうゆうもんでもないんでしょうね、きっと。いや知りませんが。

◇『ナチュラル・ボーン・キラーズ』をレンタルで鑑賞。『7月4日に生まれて』と二点でおさえたオリバー・ストーン。正直、新井英樹ザ・ワールド・イズ・マイン』を先に知ってると生ぬるい感じすらしてしまうけれど、むしろTWIMを読み解く上での重要な示唆になったかも。少なくとも、モンちゃんが人を殺す理由はわかった気がする。ミッキーと同様に、モンちゃんは「死んだ方がいいヤツ」を人生から解放する資格を行使している、ということなのかもしれない。だからわざわざ自ら世界に出向いていって、ただ無垢な殺しをやってる、ということか。でも、やっぱりそれも神としての自分を確かめる行為ではある気がする。
 あ、『アラザル』で西田さんが映画のカメラ目線について書いててすんごく面白かったんですが、実はこの作品でも不可解なカメラ目線が出てくる。テレビカメラという設定ではない場面でも、ミッキーはたまにカメラ目線をよこす。それが、この作品のオマエモナーなメッセージなのかもってちょっと思ったりした。

◇『7月4日に生まれて』も最近観たやつなんだけど、とにかくトムクルーズのおかあちゃんがもんのすごく残酷で、これがまたおかあちゃんならほとんど誰もが持っているであろう怖さなもんだから、僕のなかでは「どこにでもいる怖い人ベスト3」に入ってしまった。ちなみに、他は『ミザリー』のおばちゃんと『シガテラ』南雲さんの元彼。
 それにしても、トムクルーズ風のハンサムってクラスに居るよね。すごく美形なのにヲタグループに入っててさえない。でもおねえちゃん超キレイ。みたいな。