web版:ラッパー宣言(仮)

ビートでバウンス 唇がダンス

午後9時半。差し込む風が、秋のそれ。(書きかけ)

◇春の終わり、梅雨の前の季節は、なんとなく9月後半と似てる。

◇卒乳してから息子は睡眠も深くなっていたのだが、5月の上旬は夜中に目が覚めてしまう、という日があった。生え始めの歯が気になるのかもしれない。家の外に出ない限り泣き止まないので、僕はよく息子と深夜の川沿いを歩いた。暇に任せてオールしていた頃を思い出したりして、すると今自分の腹の前で寝息を立てている存在が、やたらと不思議に思えてくるのだった。

◇毎晩、寝かしつけが難しいのではあるが、それはそれである種団らんの時間でもある。
 僕らは先に寝たフリをする作戦を取っているのだが、まだ遊び足りない息子は、寝ているはずの両親にちょっかいをかけて真偽を確認する。二ヶ月程前のことだが、ごにょごにょと意味をなさない言葉、いわゆる喃語で絵本を音読していたかと思いきや、突然耳元にやってきて「ぎょうざ」などと小声で伝えてきたこともある。寝たフリ作戦もなかなか大変なのである。
 最近は「ぎょうざ」に限らず色々な言葉を覚え、挙動もかなり明確になってきたが、相変わらず「笑ってはいけない」状態は続いていて、疲れつつも幸福な時間を過ごしている。

◇およそ一ヶ月後に引っ越しを控え、ぼちぼちと荷詰めを始めている。空の箱で「エア入浴」をするのにハマっている息子がいるので、そちらも警戒しながら進めなければならない。とはいえ、本人としては邪魔するつもりも毛頭なく、むしろ手伝っているくらいの気持ちでいるので、その辺りをノセてやると捗るのであった。なんとなく、妻と似ている。

青野春秋『俺はまだ本気出してないだけ』。タイトルから、脆弱な自我を持った主人公の逡巡の話かと思ったが、むしろ40代で突然マンガを描き始めた男の、揺るぎない能天気な精神力に惹かれるように、その周囲の人間たちのドラマが展開していくのであった。普通に良い話で驚いた。

◇吉田大八『桐島、部活やめるってよ』。
(書き途中)

◇それにしても、やたらと不穏な空気が蔓延しているような気がして、なかなか滅入る。こういうものを観ていると、戦争なんて始まるときはすぐに始まるものなんだろうと思う。なんのリアリティも危機感もないまま、気付けば株価の値動きと同じノリで、毎日のニュースに戦況報告が紛れ込む…そんな様子が容易に想像できてしまう。逆を言えば、今なら英語学習が捗りそうなのである。