web版:ラッパー宣言(仮)

ビートでバウンス 唇がダンス

午前11時。およそ2カ月ぶりの月曜日。

◇今日から息子の幼稚園が新学期を迎える。気づけばセミも鳴いていない。私はしっかりと二度寝を取ってしまった。

◇会社を辞めて形ばかりの開業をして、今年の夏休みは昨年とは違った意味で忙しく過ごすことができた。
 おたまじゃくしを飼い、近所の公園でサイクリングを楽しみ、虫取りゲーム(ボードゲーム)に興じて、絵本を読んだり歌って踊ったりして、立川と諏訪湖の花火大会と多摩動物公園とサファリパークと鉄道博物館に行った。京王線南武線埼京線都営大江戸線と、そして特急あずさに乗った。兄妹の風邪や熱もあった。妻の免許更新もあった。そして仕事もした。
 打ち合わせ等で不可能なこともあるが、基本的には朝食と夕食と風呂の時間をいっしょに過ごす前提で、一日のサイクルが成り立っている。

◇夏休み最後の日に息子は5歳の誕生日を迎えた。娘は奇妙なはいはいで自由自在に移動している。毎日は目に見えて急激に変わっていく。
 息子の鉄道博物館は半年ぶりだが、シミュレータやミニ鉄道などのアトラクション系よりも、車両の展示や鉄道のしくみを解説するコーナーの方が楽しいらしい。
 娘は齢8カ月にして10キロの大台に乗り、妻は手首を痛めた。相変わらずよく笑うことに変わりはないが、その口元には上下2本ずつ、生えかけの歯が光っている。

◇ようやく今月から黒字化するので、あとは目の前のことをこなすだけである。とはいえ、意外とここからの方が大変かもしれない。

◇新宿眼科画廊で行われていた山本浩生展が9月7日に終了した。運営的なものはよくわからないけれど、なんだかんだで結構盛りだくさんなイベントで、アラザルも各人それぞれに楽しんでいた。
 山本作品をこのような展示の形態で見ると、あらためてそのストレートな美しさに驚く。作品の生成過程を括弧に括りやすく、自律性を普通に担保できる作品だと思う。つまり作品という出来事を自分のコンテクストに位置づけて語ることができる。
 おそらく、9/5(月)に行われたトークイベントの議論を延長させていくと、最終的には山本作品の完結性はどこから来ているのかという話になっていったのではないかと予想する。その議論の視点自体は極めて今日的だけれど、実は根底には「美の現出」という大ネタに挑む作品であることを認めているのではないかと思ったりした。そしてそれはすごく正しい視点だと思う。

◇ちなみに、山下望がトークであんなに回せるのかと少し驚いた。トリックスター的な立ち居振る舞いも、彼のちょっと特異な普段の言動とうまく結びついていて、身内としては笑いつつ感心した。