web版:ラッパー宣言(仮)

ビートでバウンス 唇がダンス

午後4時半。薄暗がりと白い息。

◇頬を紅潮させた息子が泥だらけで遊んでいる。気付くと公園には私たち父子だけになっていて、薄暗くなってきた年末の空に、息子と私の笑い声が抜けていく。

◇23日は近所に住む義父母をお招きして、我が家でクリスマスパーティを開いた。興が乗ってきた息子が、お気に入りの音の鳴る絵本でクリスマスソングをかけながら歌とダンスを披露し続け、いそがしく楽しんでいた。義父母といっしょに妻の作ってくれたグラタンやバクテーを食べ、年々賑やかになっていく我が家の様子を眺めていた。そういえば私がグラタンを好きになったのは、妻が作ったものを食べてからだ。
 翌朝、24日にもかかわらず、息子の枕元にはサンタクロースからのプレゼントが用意されていた。息子の指摘で気がついたのだが、サンタさんからのプレゼントの包装紙が、児童館のクリスマス会で妻が作ったブーツと同じ絵柄だった。

◇クリスマスから年末にかけてパーティが増えたせいか、妻はお腹を壊してしまった。私もちょっと胃が痛い。

◇クリスマス前のことになるが、ミラノ座のラストショウプログラムにて『E.T.』を観賞。3歳の息子の映画館デビュー戦でもあった。二度目に自転車が飛ぶシーンに涙を堪えていたら、膝の上の息子が突然振り返り、興奮気味に「自転車飛んだの、しごいー(すごいー)」とたどたどしく話しかけてきて、たまらず号泣。そのまま虹のシーンまで止めどなく。
 “I'll be right here.”の台詞から虹が描かれるまでの音楽が、とてつもなくすばらしくて、毎回驚いている気がする。シェルターが閉まりかけるときに、音楽が一旦静かになる演出は、おそらく一番最初に映画のなかの「音楽」を意識した瞬間でもあったと思う。言ってみれば、あの一瞬で、エリオットとE.T.の共振と断絶が同時に描かれてしまう。それは物語(映像)の流れとは少し違うタイミングで描かれる別れであって、つまり音楽はあくまで音楽として、映像の外側からこの物語に介入しているようにも見える。
 その日帰宅して、興奮さめやらぬまま『E.T.』の話をしていると、「ところでETって、かくし芸大会で研ナオコがモノマネしてなかったっけ?」と妻が言う。

◇今年もMiseさんにお声がけいただき、2DColvicsにて『2014 BEST ALBUMs In 日本語ラップ』『2010-2014 BEST ALBUMs In 日本語ラップ』を選ばせていただいた。ついでに、一年の出来事を振り返る意味でも、『2014 BEST act In 日本語ラップ』といったものも並べてみた。あらためまして、こんな機会をいただき感謝です。
 毎度のことながら、順位は便宜的にあてはめたもので、作品の出来不出来みたいなものをそのままランキングに反映しているわけではない。ただし、やっぱり基準として、1位には一番面白かったと思うものを置いているので、そういう意味では問題なくBESTランキングだと思う。

◇『2014 BEST ALBUMs In 日本語ラップ』は、基本的に1位と10位、2位と9位、3位と8位、4位と7位、5位と6位のペアで、同じテーマで選出させていただいた。このランキングは5位と6位の間に鏡を置いて、それぞれ裏写しになるようなイメージで配置している。
 『2010-2014 BEST ALBUMs In 日本語ラップ』の方は、説明が大変なのでメモをそのまま載せておく。