古谷実が来週から新連載。
◆◇◆『ヒメアノ〜ル』◇◆◇
今までは、次回作の予告になるような読み切り作品を発表し、それから新連載へっていうパターンだったけれども、今回はいきなり来週から新連載だそうで。不意打ちですなw
"maybe amber life"とある。「多分琥珀人生」(←直訳)ですw。だからもしかしたら、わにとかげぎす路線かもな〜。「ゆっくり時間かけて何者かになる」みたいな。どんどんポジティヴになってく感じもするし、それが主人公の自意識にとどまるのかもしれないし、まあ結局読まなきゃわからんってことなんですがw。
あ、それから、琥珀って何かを閉じ込めるわけですが、どうやらググッたらアノールってとかげの種類らしく、琥珀の中に閉じ込められることもあるそう→http://aquaholic.jp/44_169.html。こういう本、古谷実好きそうだしね。それから、はてなキーワードで「ヒメアノ〜ル」を編集したけど、どんどん追加してって欲しいなって思う。
◇「自分の守り方」を知らない人を、「自分の守り方」を知っている人が見下す。見下すことで、彼らは自分を守っているという構造。
かつて、「俺を侮辱するな」と叫び、無差別に通行人に襲い掛かった少年がいた。彼は「自分の守り方」を知らず、そして、彼を侮辱することによって自らを守ろうとする卑怯な人間の存在にも気付いていた。
自分以外を見下すことで自分を守ろうとする人間は、自分を疑うことから徹底的に遠ざかる。自分と見解の違う人間を、「異常」「劣っている」とさえ思い、自分の正統性を主張する。
でも、結局のところ、それは仕方のないことだったりする。そのような行動をとらない人間はいないわけだ。しかし、正統性を主張する自分に罪悪感を覚える者は、それ以外の「自分の守り方」を考えなきゃいけない。
「自分の守り方」を知らない君を、僕が守る。僕は守ることで君に守られる。それが、『僕といっしょ』のイトキンと村田マリコが、『わにとかげぎす』の雨川とヤクザの愛人が、夢見た関係だったのだと思う。そして、そういった現実的な、非打算的な行動として恋愛を考えるっていうのが、古谷実の論理的な誠実さだと思う。
◇さて、古谷実は私小説を続けるのだろうか。続けるっぽいけど。
◇古谷実作品の連載がない間に僕が最も親近感あったのが、『カテキン』だった。ちょうど古谷実とバトンタッチな感じで今週で終わってしまったけれど。やっぱり僕は「思春期モノ」が好きなんですね。思春期って「絶対」があるってことを信じてる時期だからだと思う。童貞的な。だから「思春期の終わり」が僕的には一番辛く切ない。
◇ヤンサンの『土竜の唄』がスゴイことになってる。こういうメタもベタも一発で無効にさせる作品が好き。
先々週くらいから延々と続くセックス描写が、もうマジなんだか狙ってんだかぜんっぜんわかんなくて、気付いたらコンビニで一人声を殺して笑っているw。この得体の知れない情熱はなんだ!?ペンも折れよとばかりに描かれた動きのない画と、途中挟まる明らかに無駄な描写(しかも丁寧)。暑苦しさと脱力感とあと何か(もしかしたら真摯な問いかけ?)が、「余計」というキーワードによって奇跡的に融合する。余計な情熱/余計な迫力/余計な描写/余計なドラマ性・・・。